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Author:メシダ・イワン
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2008/12/03 09:08|

柳沢桂子 (生命科学者) 



病気に対して打つ手がなかったときには、医療とは苦しむ人の面倒をみることであり、病人と病気はわけることのできないものであった。

医学が発達して、病気の症状を分析できるようになると、病気と病人は切り離される。






医学が症状に注意を向ければ向けるほど、病人は疎外されていく。


1920〜1930年ごろのヨーロッパでは、裕福な階層に対しては医師は相談者であったが、貧しい人々に対しては命令的な立場にあった。
医師は医学という後ろ盾によって、病人を選別し、命令する権限を持つようになった。

ここに病気、病人、医者という概念が生まれた。


人間が動物であることを考えれば、病気とは本来自分で感じ、自分で判断するものであったはずである。
ところが医学の発達につれて、病気は医師という見知らぬ人が判断するものになってしまった。

もし、医師が病気でないといえば、患者本人がどのような苦痛を感じていようとも、その人は病人とは認められないのである。

(以上、本文より引用)

**

柳沢博士は生命科学者であり、ハツカネズミの先天異常の研究から、動物の発生過程において”T遺伝子”が重要な役割を果たすことを見出しました。

子育てもひと段落し、これから大好きな研究に打ち込める、と思っていた矢先、柳沢博士は原因不明の病に倒れました。
1ヶ月に一度、頭痛、めまい、嘔吐、腹痛、何日も眠り続ける傾眠が起こり、それが2週間続く、という病状が周期的に続きました。

次第に脳貧血で起きていることが困難になり、15分起きているのがやっとの状態にまでなります。
博士は、実験室にベッドを置こうかと真剣に悩んだそうです。
ついには出勤も難しくなり、家に顕微鏡を持ち込んで、文字通り寝ながら研究を続けました。
しかし、事務手続き上、雇用ができない状態になり(ずっと欠勤していたから)、解雇されてしまいます。

なんと、30年以上もの長い間、この病気の原因は不明で全く治療の施しようもなかったそうです。

「何の病気かわからない」ということで、柳沢博士は大変に苦しみました。
「自分が悪いのではないか」と自分で自分を責めてしまったのです。
病気の症状は、介護が必要な期間もあったほどとてもひどく、肉体的な苦痛もひどかったそうですが、博士はそれ以上に精神的に苦しみました。


このような中、博士は「生命現象のすばらしさを書く」という作業を始めました。
苦しい中書き続け、身体のしびれも乗り越えて書き続けました。
本が出版されるのか、わからない状態の中でした。
そんな中、病状が進行して、もう書くことさえできないというところまで行きました。

ところが奇跡的に、偶然処方された抗うつ剤が効き、また書けるところまで回復されました。


柳沢博士は、現在たくさんの著書を出版され、大変に活躍されています。


参考文献:「生命の不思議」柳沢桂子、日本放送出版協会、2000年


(感想)
実は、私の病気も、最初は原因不明でした。

2003年6月ごろから、原因不明の微熱、倦怠感、頭痛、眠気、湿疹などに悩まされました。

その年、私は博士課程の最終学年であったため、肉体的にも精神的にも、かなりの無理をして研究をしていました。

そのときの私の精神状態は、今から思うと異常でした。
「多少の疲れなのに、自分がなまけたいから、大変な状況から逃げ出したいから、具合が悪いと感じるんだ」

柳沢博士の苦しみは、何百分の一ですが、わかる気がします。
そして、博士が見つけた「生命現象のすばらしさ」を書きたい、というお気持ちも。


私の病名は「化学物質過敏症」でした。
このことについては、また後日。



そして、イワンのパパに病気だと認めてもらえなかったイワンの母へ。
苦しい中、よくがんばったね。
いくらオヤジがどなっても、寝ていていいんだよ。


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2006/05/26 09:37|すごい科学者たちTB:0CM:3

コメント

何だかな
病に打ち勝つには病を病と認め、知ること。
ワタシの研究室は痛み・欝・不安といったヒトの
ネガティブファクターに関して研究しています。

……博士学生になってから始めた勉強ですが、
各々がどういう意味を持ち何故そうなるかを垣間見たことで、
修士時代死にそうになっていたところから這い上がれた気がします。
巽 #7OStsHEQ|2006/05/27(土) 04:25 [ 編集 ]

>巽さん

私はなかなか自分が「病気」だと、認められなかったのです。
診断されても。

ありのままの自分や他人の状態(苦しみ)を認める、ということの重要さを実感した体験でしたよ。
メシダ #-|2006/05/28(日) 21:35 [ 編集 ]
面白かったです
ちょくちょく拝見しています。いつも更新凄いです。私も努力しないと・・・。もう寒いので風邪などに気をつけて下さい。また拝見させて頂きます。
あきお #-|2008/11/13(木) 13:49 [ 編集 ]

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