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2008/12/03 09:11|

朝永振一郎 (65年ノーベル物理学賞) その2 


「なまいき」というのは、
年の熟さない者が、年上のものの口つきや動作やなんかのまねをして、しかしまだ何となく幼くて、いくらかちぐはぐな感じがする、そういう感じをあらわす言葉のようである。






その場合、その口つきや動作が、そっくりうまくまねされていればいるほど、なまいきさは心憎くなる。

人間の男の子が成人に近づき、なまいきな手つきでタバコをふかす様。
まだ子供っぽさがほっぺたに残っているくせに、心憎いばかりの適切な速度と間を持って、タバコをふかすので、大変なまいきに見える。


人間以外でも、なまいきな感じが起こる。
おたまじゃくしから尻尾がなくなって間もない、蛙の子。
切り離された小さな尻尾がくるくる動く、トカゲの子。
ナイフとフォークで食事をするチンパンジー。


なまいきの中には、あわれで悲しいものもある。
しらす干の中に時折混ざっている、小さなタコの子である。
大きさは数ミリにも足らぬほどだが、ちゃんと坊主頭と、二つの目玉、八本の足を持っている。
かわいそうに、この小坊主たちはしらすと一緒に煮られてしまったのだ。


以前、庭の池の中いっぱいに、おびただしい卵の紐を産んだ後、精根つきはてたらしいカエルのオスメスが、水から上がる気力も失って、死体となって浮いていた。
しかし、親は死んでも、卵からはおびただしい幼いおたまじゃくしが生まれて、そのうちあるものは、なまいきなカエルにまで成長した。

再び庭の池を卵の紐でうめつくしたのは、多分、それらからさらに成長して大人になったやつらであろう。
そして、その卵からは再びおびただしい数のなまいきな二代目が発生し、それが再び、庭に跳躍した。


思えば、人間も含めてすべての生き物たち、なまいきな子供や、なまいきな若者たちが跳躍して、はじめて、それによって、れんめんと種族を続けさせているのであろうか。


参考文献:朝永振一郎著作集(1) 鳥獣戯画、みすず書房、1981年


(感想)
前回参考にした文章(亀淵進,「科学」Vol.76, No.4(2006年4月号);382-386 )に、「朝永博士の温かい視線が感じられる」と、このエッセイの紹介が書いてあったので、読んでみました。

確かに、温かいです。
シラスの中に混ざっているちっちゃいタコを「かわいそう」とみていらっしゃる。
そういえば、私も小さいころ、このシラスに混ざっているタコの子やタイの子が、なんだかかわいそうで、食べられずに避けていた覚えがあります。


朝永博士は学長時代、学生運動の活動家たちが「もっと学生のことを考えろ!」と詰め寄って来たとき、「そんなことは、分かっている。考えている」と答えたり、
学生の企画した講演会に招かれた際、人が集まっていないことに企画者たちがひやひやしていたら、「私たちのパグウォッシュ会議も少人数で始まりました」と励ましたりされたようです。

なまいきな若者たちが跳躍して未来を作る姿を、温かく見守ってくれていたんでしょうね。


私は「わがまま」と「なまいき」を混同していました。
きっと、私はなまいきだったんでしょうね。


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2006/04/22 16:36|すごい科学者たちTB:0CM:2

コメント

Hello
生意気に見えても、最後まで研究をして正しさを証明しようぜ! 最後は自分だよね。研究頑張ろう!
Medkid #-|2006/04/24(月) 12:05 [ 編集 ]

>Medkidさん
いつも、励ましのお言葉をありがとうございます!
これからは、(やばくない程度に)意識してなまいきさを発揮し、研究分野のマンネリを打ち破れるようになっていきたいと思います。

大学のキャンパスには、なまいきでかわいい新入生たちがあふれていますよ。
大学生らしくしようと背伸びしている姿が、本当にかわいらしい。
メシダ #-|2006/04/24(月) 18:49 [ 編集 ]

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