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2008/12/03 09:38|

2001年宇宙の旅  アーサー・C・クラーク 

2001年宇宙の旅

2001年宇宙の旅  アーサー・C・クラーク、ハヤカワ文庫SF、1977年


引っ越しの荷物を整理していたら、この本がぽろりと出てきたので読んでみました。

おもしろさに引き込まれて、一気に読んでしまいました。

読んで納得。

ああ、その辺にある安っぽい映画・小説・漫画などはこれのパクリ(ひどい場合はパクリのパクリ)、きれいな言葉で言うとオマージュだったのですね。

これこそがオリジナルだったのですね!

(以下、ストーリーのネタバレはありませんが、テーマの核心については触れています。)






以前、ぐっじょぶさん、弘毅さんがコメントをしてくださいましたが、私も、肉体と精神についての考察に注目しました。


***

肉体の機能を機械化していくと、不死が得られる。
脳は有機組織の名残としてしばらくとどまるかもしれない。

しかし、最後には脳さえも消えていくだろう。
意識の着床する場として、脳は必須のものではない。
そのことは電子知性の発達が証明している。

精神もいつかは物質の束縛から逃れるだろう。
ロボット身体も、血と肉の身体と同様にたんなる踏み石であって、やがては人々が遠い昔“精霊”と呼んだものに至るのかもしれない。

そして、そのまた向こうに何かがあるとすれば、その名は神の他にあるまい。

* **

クラークさん、そうですか。
私は反対に、意識の着床する場として、脳は必須のものだと思っています。

すべての生き物に、「生命」と呼べるものはあるだろうけれど、「(自)意識」を持っているのは、人間だけです。(日高敏隆博士(動物行動学)の研究より)


また、いくら試験管内 (in vitro)で生物の生化学反応の一部を再現できても、生物の最小単位である細胞を人工的に作ることができないように、電子知性を集積させてみても、「意識」は生まれないと思います。

これは技術が進歩すればできるようになるものではなく、人間の手で作り出せないもの、自然にしか作り出せないものこそが生命だと思うからです。


さらに、私は肉体と精神は分けられないと思っています。
これは仏教でいう「色心不二」(色=肉体と心=精神は不二=不可分と考える)の思想に基づいています。
私はこの東洋の伝統的考え方が好きです。

また、「依正不二」という言葉もありますが、これは「自分と環境は不可分」という意味です。
地球上、宇宙のどこに行こうとも、自分からは逃げられない、ということです。


“精霊”になってしまったら、もう生命ではないですね。
日本で言うと、幽霊?


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2006/03/22 13:45|本の感想TB:0CM:9

コメント

人生金太郎飴説
非常に面白い考察ですね。私は自意識も大切ですが、人間にとって更に大切なこととはDNAの継承ではないかと思います。微生物の増殖の仕組みは分裂です。つまり、1つの親細胞から2つの娘細胞が出来るわけです。娘細胞と呼ばれる物の、どちらも親細胞の一部な訳です。私たちも同じく分裂して子孫を残していたらどうなんでしょう?娘に私の意識は継承されるのでしょうか。人間は分裂こそしませんが、やはりDNAを子孫へと継承します。方法は違いますが、やっていることは微生物のそれと同じなわけです。これらのことを考えていくと、現在の私は金太郎飴の切り口に過ぎず、私のアイデンティティーは金太郎飴そのもの、つまり祖先から子孫へのDNA継承の連続体(チェーン)ではないかと考えたりします。話はそれましたが、DNA継承は生命にとって究極の目的であり、それを達成することが精神や肉体を持つ意義ではないでしょうか。
北城 彰 #-|2006/03/23(木) 23:03 [ 編集 ]

>北条さん
書き込みをありがとうございます!

なるほど〜、ドーキンスの「利己的な遺伝子」、クリックの「DNAには魂があるか」などの著作の考えに通じますね。


私はさっき、HeLaと呼ばれる子宮頚癌細胞を植え継ぎしてきました。
(すぐに増えて、ディッシュにいっぱいになってしまうので)
これは、数十年前に癌で亡くなった女性の細胞です。
本人は亡くなっても、本人の遺伝子を継承した癌細胞は生き続けています。

乱暴な言い方をすれば、もしDNAを継承したいだけだったら、これでいいのではないかな、と思います。

私は、体をもって、衣食住の喜びを楽しむのは、生き物の存在理由だと思っていますよ。

メシダ #-|2006/03/24(金) 17:26 [ 編集 ]
北条さんのブログ
マレーシアのペナン島にて、「衣食住」を楽しまれている北城さんのブログはとってもお勧めです!!
「高級茶ブランドの設立―アジアにて起業」
http://specialityteas.blog53.fc2.com/
メシダ #-|2006/03/24(金) 17:33 [ 編集 ]

こんばんは。私のブログを紹介してくださって有り難うございます。
さて、メシダさんのコメントについてですが、確かにクローンもDNA継承の手段ですが、それは生命のミッションとは異なるように思います。まず、微生物ですが、細胞分裂そのものはクローンと変わりませんが、彼らは非常に突然変異を受けやすく、突然変異による自然淘汰により、より優れた個体を将来へと受け継いでいるわけです。MRSA等が良い例ですね。カビや放線菌に紫外線を数秒照射し、再び培養すると、多種多様の細胞に変異しております。人間の場合交配が同じ役割を担っているように思います。本来、食べる喜び、愛する喜び、その他様々な喜びは、同時に子孫を残す為の要素となり、優れた環境で子供を育て上げることが次世代へのDNA継承に関係しているように思うのですが、どう思われますか?
HOJO #-|2006/03/25(土) 01:22 [ 編集 ]

ただ今、私は体調が悪く、コメントのお返事とブログの更新ができません。
しばしお待ち下さいね。
メシダ #-|2006/03/26(日) 14:43 [ 編集 ]
早く良くなって下さいね。
大丈夫ですか?十分に静養してくださいね。私は明日からマレーシアに半月ほど出張です。出発前になると何時も憂鬱な気分になります。
HOJO #-|2006/03/26(日) 16:00 [ 編集 ]

おかげさまで、体調は回復しました!
週末はおとなしく家で寝ていました。

>HOJOさん
先日は、ぼやけたコメントを返してしまいました。

今回は「人間の生命の目的」に絞って、考えたことをコメントいたします。

私は、肉体と精神を分けることができないように、DNAの継承と精神・文化の継承は分けられないと思います。
動物には本能があり、ただ生きて子孫を残すだけならばそれで十分です。
しかし、狼に育てられたヒトは、人間にはなれない。
(「狼に育てられた子」J.A.L.シング (著)、福村出版、1977年より)

加えて、人間には「尊厳」があります。
生きる権利、精神の尊厳です。
DNAを継承することだけが目的であることにすると、それができない人間は存在理由がなくなってしまいかねません。
生涯独身者、身体(生殖機能)障害者、同性愛者等の人々は、生きる尊厳が奪われてしまう、と思います。

ですから私は、人間の生命の目的はDNAの継承と精神・文化の継承の両方であると思います。
決して、精神・文化の継承、つまり人間として正しい生き方を学ぶこと、未知の知識を知ること、そして衣食住を楽しみ伝えることは、DNAの継承のための手段ではなく、目的であると思っています。


マレーシア(本土?)への出張、お気をつけて〜。
メシダ #-|2006/03/27(月) 16:52 [ 編集 ]

お久し振りです。
科学の研究の様子が垣間見れて面白いので、
ちょくちょく覗かせてもらってます。



クラークのこの部分の考えの根底には、
肉体を精神より低く見る傾向を感じますよね。
精神は肉体の機能のひとつに過ぎないのに。
この身体はいまだに我々の理解を超えたものであり、
それこそが人間の生命としての可能性でもあって、
肉体と精神を切り離す事が出来たとして、
安易に精神を肉体から切り離してしまうと
その可能性をも切り捨ててしまう事になる気がします。

でも、精神が物質の束縛から離れるという考えは嫌いではありません。
それが、病気や死という個体としての不満から逃れるためという消極的な理由ではなく、
もっと今の我々の理解を超えた過程を経てそうなったというのなら面白いです。

世界は我々の理解を超えていて、
だからこそ意味があると思うのですが、
そういう世界の不可思議さや壮大さは十分表現されている感じがして、
この作品は面白いです。



ところで、コメント欄のやり取りを見て考えたのですが、
生命の目的はDNAの継承だというのは人間による解釈のひとつでしかなく、
生命をどう定義するかという事すら難しいのに、
生命という複雑な現象に特定の単純な目的を与えようという事自体に無理があるような気がします。
弘毅 #FOTGTtpk|2006/03/28(火) 00:48 [ 編集 ]

>弘毅さん

たびたび来ていただいて、ありがとうございます!

「世界の不可思議さや壮大さは十分表現されている」とのコメントに共感いたします。
記事の冒頭にも書きましたが、この世界観のオリジナルとして、本当にすばらしい作品だと思います。
私の後半の感想は、クラークファンの方に見られたら、「つまらないいちゃもんつけるな!」と怒られてしまいそうです。


生命については、本当に難しいですね。
様々な角度からアプローチできますし、それぞれの角度での専門の研究者がいるほどですから!

ただ、現在の科学の考え方は、「要素還元主義」で、この世界のあらゆる森羅万象を細かく、細かく要素に分けていって、それぞれに法則を見出し、それぞれに意味付けています。
この方法論は「要素の意味付け」には成功してきました。
一方、「生命」のような「複雑な」要素の複合体についての研究は、これからの科学全体の課題とも言えると思いますよ。
メシダ #-|2006/03/28(火) 20:22 [ 編集 ]

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